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大野 恭稔 さん



 第4回生の大野恭稔(おおのやすとし)さんは高校時代、音楽部に所属していました。それまでは音楽をただ聴くだけのものとしていましたが部活動を通して初めて創作するという喜びを知りました。

 そんな大野さんには幼い頃からある夢がありました。音楽部での活動はその「夢」を大きく実現させるための大きなステップになりました。

 時は2000年の夏、かねてからの夢だった「手作りコンサートの開催」が実現します。

 このページではそんな夢を実現させた大野さんからお話を伺うことにしました。

2004年5月5日収録





 ――― 自分で作った曲を誰かに奏でてもらえたら。
そして、大勢の人に聴いてもらえたら・・・。 ―――



 たとえ辛いことがあっても夢を実現するという気持ちが僕を支えてくれていました。手作りだけど何か温かいものを作りたい、多くの人たちに僕の夢を感じてほしい。そんな気持ちでいっぱいでした。

 あの音楽部での時間と、鈴村先生やファンキーな友人たちとの出会いがなければ、僕の夢は叶わなかったでしょう。あの夢の舞台がなければ、僕の人生も味気なかったろうし。そういう意味で、興道での3年間は僕にとってかけがえのないものと言っていいです。



 高校卒業後、社会人として働きながらも幼い頃からの夢を追い求めていた大野さん。高校時代に共に過ごしてきた音楽部の仲間を集めて自作のコンサートを開こうと仕事の合間を縫って頑張ってきました。


 社会人になってから偶然知り合ったのが、名フィルのヴィオラ奏者、吉田こうじさんでした。名フィルなんて僕にとっては雲の上の存在ですから、初めてお会いした時は本当に緊張しました。

 でもそんな人が、僕の他愛もない夢の話に真剣に付き合ってくれたんです。演奏はもちろん、編曲までやっていただけることになって。それまで希望でしかなかった僕の夢が、吉田さんとの出会いでグッと現実に近づいていきました。

 30歳の節目の年に、僕はいよいよ夢のステージに立つことになりました。



 2000年8月20日、稲沢市民会館、大野さんの長年の夢の舞台がついに現実のものとなります。





 吉田さんをはじめ、バンドのメンバーには多くのことを教えてもらいました。音楽に対する真剣な気持ち、お客さんを満足させることの大切さ、どうやったら自分の気持ちを相手に伝えることができるのか・・・。

 そういえばコンサートが終わったあと、参加してくれたあるアーティストがこんなことを僕に言ってくれました。


「今までの中で一番温かいものを感じたイベントだった、だから、それにこたえるために、たくさんの気持ちを込めて演奏させてもらったよ。」


 それは僕の気持ちが伝わった瞬間でした。人の温かい気持ちを受け取ることが、あんなに嬉しいものとは知りませんでした。本当に貴重な体験だったんだな、と今更ながら思います。

 あのイベントに関わった全ての人との出会いが、僕を一回りも二回りも大きくしてくれました。参加してくれた皆さん、本当にありがとう。


コンサート当日に配られたパンフレット









曲  名

『弦楽のためのセレナード』より 第6楽章 フィナーレ 「恋は歓び」

作曲: 大野恭稔  編曲: 吉田こうじ

演  奏

〜 名フィルメンバー 〜
第一ヴァイオリン:  竹田千波 第二ヴァイオリン:  日高みつ子
ヴィオラ:  吉田こうじ チェロ:  杉浦薫

作曲者から

 小学生の頃に頭に浮かんで離れなかったメロディをもとに作った曲です。高校時代も社会人になってからも、この旋律はずっと頭の中を忙しく回っていました。吉田こうじさんの素晴らしいアレンジのお陰でこれが楽曲になり、僕の頭はようやくこのメロディから解放されました。

 全部で6楽章あるセレナードですが、その全てが高校時代、好きだった女の子を想いながら作ったメロディで構成されています。モーツァルトそっくりに仕上がったのは、僕も吉田さんも大のモーツァアルト好きだからでしょう。それでは名フィルメンバーの軽快な演奏をお楽しみ下さい。


試  聴

この楽曲をMP3形式で試聴できます。ダウンロード(zip形式1.8MB)





曲  名

「Adieu - SAYONARA」(アデュー・さよなら)

作曲: 大野恭稔  編曲: ナタリー成田

演  奏

チェロ: 杉浦薫  ピアノ: ナタリー成田

作曲者から

 この曲はコンサートのアンコール曲として、親友のナタリー成田に編曲と演奏を依頼したものです。僕の初恋が失恋へと変わったとき、僕はこのメロディーをふっと思いつきました。そんな思い出をナタリーは見事に音符に表してくれました。短くも切ない思いが、あっという間に空へと消えて行きます。ナタリーのピアノと、名フィルの杉浦薫さんの甘いチェロをご堪能下さい。

試  聴

この楽曲をMP3形式で試聴できます。ダウンロード(zip形式2.4MB)




 吉田こうじ 〜プロフィール〜
ヴァイオリンを渡辺正美、中村桃子、岡山芳子、各氏に、ヴィオラを西岡正臣氏に師事。 リサイタルをはじめ作曲家の岩本渡、柴信次らとコンサートのプロデュース、舞踏家の藤間勘萃、ソプラノの加藤典子、メゾソプラノの伊藤美知子、名古屋少年少女合唱団等多数の演奏家と共演。またクヮルテット・オワリーノの主催する傍ら編曲等多岐に渡り活躍中。オリジナル作品として、弦楽四重奏曲『風』があり、名古屋フィルハーモニー交響楽団主席ヴィオラ奏者としても活躍中。

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